フランス料理店・ポワン・ドゥ・デパーPoint de depart
普段あまりお話できないような、 私達のお料理やお店に対する考え方 などを、今までにあった出来事 なども交えながら、色々と書いていこうと思っております。 なかなか、ご理解頂けない事も、 あるかと思いますが、面白おかしくご覧いただけたら幸いです。
『野生と飼育の違いって?』
本当に、今年も、あっという間にボジョレヌーボーの季節ですよね、 当店も、解禁日には、毎年取り扱っているドメーヌの物を1種類のみ、 グラス又はボトルで販売するつもりですので、お楽しみに それから、今回はまさに、今が旬の野生の野鳥類<ジビエ>について、 お話 しようかと思っております。 と言うのも、この時期になると、必ずお客様に、 『野生の鴨と、飼育の鴨とは何処が、どう違うんですか?』 とか、国産の物とフランス産の物とでは、どの様な違いがあるんですか? と言う質問 を頂く事が多いんのですねー。 そこで、今回は 、私の解る範囲で簡単にお答え出来ればと思いまして 早速書いてみる事にいたしました。 まず、一般的にジビエとは、どう言う物か?と言いますと 野生で生息している、 兎・鳩・猪・熊・鹿・鴨・青首鴨・雷鳥・シギ・雉・山鳩・穴兎などで、 毎年、獲れる時期は、大体10月〜2月位です、 肉質は、殆どの物が、脂が非常に少なく身が引き締まっている為 多分、初めて、召し上がる方は、やや硬めに感じるかも知れませんね、 しかし、鳥類に関しては焼き方次第で、そんなに硬さは感じず、 美味しく召し上がれると思いますので、 ご心配なく、 只、時々散弾銃の玉が入っているのには、十分にご注意を。 まあ、肉質に関しては、私個人としては、かえって、余分な脂がない方が、 肉自体の香りや味を、存分に楽しめる様な気もするんですけどね、ウフフフフ 特に鴨に関しては、飼育の物と野生の物では、写真で見ただけでも 見分けがつく位、違いがありますので、是非、ご興味のある方は、この時期に 野生の物を1度召し上がってみてくださいな。 きっと、、例えば、肉の色にしても、『うわーこんなに違うんだー』とビックリしますよ。 ちなみに、飼育の物はどちらかと言うと 皮は 黄金色に近い茶色、身は綺麗なピンク色と言う感じで 必ず皮と身の間には脂の層があります。 その脂の層が、非常に厚いのが合鴨です。 それに比べて、野生の物は、皮は限りなく黒に近い茶で 身は、ピンク色と言う感じではなく、どちらかと言うと、 落ち着いたダークな赤と言う感じです。 そして、皮と身の間に目に見える脂は殆どありません。 肉の味自体は野生の物は、肉と言うよりはとってもレバーに近い味がします。 香りも、飼育の物に比べると、やや強め その為、ソースも、そんなお肉に負けないように、 内臓や血を使った、しっかりとしたソースにします。 ここ数年、フランス料理の世界では、ソースや味付けは、 常に軽く優しく塩気は抑えてやや薄め?が流行りの様な感じでしたが・・・ 私個人的には、お料理は素材によって調理や味付けは変えるべきであり それによって、素材とソース・お料理全体のバランスが取れてるのだと 思うんですよね、塩や胡椒の味付けについても同じくなんですけど、 あくまでも、味付けは素材とのバランスが基準で 決まっていくと思うのです。 勿論人間の味覚も大事なんですけど、こればかりは人それぞれ 違いがありすぎるので・・・・本当に難しいですよね。 そこで、シェフに味付けについて質問してみた所 プロの場合は例えば、フォワグラのテリーヌを作るとすると、 1キロのフォワグラに対して10〜15gの塩を加えると言うのが 1つの基準となっているそうなんですが、これは、 決して、 只単に適当に決められている事ではなく フォワグラと言う素材は全体の60%が脂で出来ておりますので、 それ自体には、これと言う味はないのです。そこで、 まず素材全体のグラムを量リ、下処理をしながら状態をよく見て、 湯銭で火を入れた時にどれ位の脂が出るかを計算して、 塩の分量を算出して、何gの塩を加えれば、一番よい状態で味が出るかを 決めていくそうなのです、その基準がフォワグラ1キロに対して 10〜15gなのだそうです。と言う事で、プロの場合は、 只単に、これぐらいかなーと言う風に味付けをしているだけではなく、 素材によっては、きちんと計算しながら算出していく 場合もあるのですよ。只、フォワグラの場合は、本当に状態に バラつきがあるものが多いので、平均して安定した味に仕上げるのは 意外と大変なんですよー<ワイン作りと通じるところがありますよね> ですから、最終的には、 色々な状態の物を使って、何度も繰り返しグラム数や、 火加減を変えつつ 作ってみると言う経験が必要なのです と言う事で、話を鴨に戻しますが、 飼育の物の場合は、肉自体の味が柔らかく、繊細な感じなので、 全体のバランスを考えてソースは、比較的優しい感じの物や柑橘系の物を 使ったりす事が多いのです。 本当に、 同じ鴨でも、種類によって調理法やソースが変わったりと、 フランス料理って、大変ですよね。オホホホ と、この辺で〆の一言、100文は一見にしかず、 是非、当店にて野生の青首鴨をトライしてみませんか?それでは、また あっ、書き忘れましたが、蝦夷鹿って何処の鹿ですか?と 聞かれる事があるのですが、これは名前のとおり北海道の物で 非常に甘味があり、比較的野生の香りが少ないので 初心者の方にもお薦めのジビエです。 特に内モモの部分は、とても柔らかいので、ローストして ポワブラードソースと言う、杏ジャムと胡椒を利かせたソースで 召し上がると食べ易いかも知れませんよ。 ちなみに当店では12月位に登場する予定です。 追伸・只今クリスマスとお正月用テイクアウト商品のお知らせを必死に作っている 最中なのですが、その間にクリスマス24日のお席は残り僅か となってしまいました。なるべく回転させず、ゆっくりと時間を気にせず 召し上がって頂ける様に、と思っておりますが、その代わりに お席の方は、普段より多少コンパクトになってしまうかもしれません。 本当にすみません。しかーし、出来る限り、 皆様にゆったりと、寛いで、お食事を楽しんで して頂けるよう、 精一杯、努力いたしますので、どうぞお許し下さい。 ちなみに、23日と25日は、まだまだ余裕がございますので、 まだクリスマスの予定が決まっていないお客様は 是非、是非 遊びに入らして くださいね。シェフ共々心よりお待ちしております。 それから、11月がお誕生日の下西様・鈴木様・塩地様・古池様・手塚様 原田様・石井様・尾畑様・八木様の奥様・大澤さん・大山様・小堺様・糸井様 吉田様・吉垣様・老田様・宮寺様・その他11月がお誕生日のお客様、 お誕生日おめでとうございます。皆様にとって、この1年が素晴らしい 出発点<ポワン・ドゥ・デパー>となります様、 シェフ共々、願っております。 それから、昨年に引き続き、毎年必ず、クリスマスのご予約を頂いている お客様には、本当に言葉では言い尽くせないほど、感謝しております。 今年も、皆様に、また来年も来たいなーと思って頂けるような、 メニューをご用意してお待ちしてますで、楽しみにしていてくださいね。 それでは、また来週。
■2006 1/1(日)2006・新年
■2005 5/2(月)ポワン・ドゥ・デパーオリジナル大人の為のロールケーキ